兄からの電話

食器を洗っていたら電話が来た。すぐに出ることが出来なくて切れてしまったが、着信を見ると兄からだったのですぐに折り返した。兄から連絡が来ることは滅多に無いので、実家で何かあったのかと思った。聞いてみるとそんなことはなく、ただ私の近況を聞きたかっただけのようだった。
私も兄も親元を離れており、しばらく顔を合わせていない。また兄のほうが実家に近いので実家に帰る頻度も高い。私は自分の近況を伝え、兄からは兄と両親の近況を聞いた。お互いあまりしゃべる方ではないのですぐに会話が止まってしまった。もう少し何か話したほうがいい気がして最近のゲームの話をした。頻繁に会話が止まるのでそのたびにどちらかが話しだそうとするのだけどそのタイミングがかぶってしまうことが何度かあった。そのせいで言いたいことをちゃんと言えなくて、いつも以上に口下手になった気がした。
兄は最後に早く就職しろと言った。たぶんこのあたりの話をしたかったのだろう。いつも通りに働きたくないと答えた。そんな感じで体に気をつけるようにと言われ電話を切った。
会話が終わると、ああ言えばよかった、こんな話をすればよかったと考えてしまう。それはいつもの事なのだが、その日は普段よりなんだかもやもやした。食器洗いを再開してもモヤモヤしていたのでその勢いで流しをピカピカにした。